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第3回 Waldo Hotel ディレクター Ken Chung さん

『想去、金沙(サンズカジノへ行ってください)』タクシーに乗り込みそう告げた私の目的地はカジノではなかった。 今日は楽しみにしていた人と会う日。 その人の名は『Ken Chung』 サンズの正面に建つWaldo Hotelのディレクターである。 ワルドは最近評判の良いホテルだが、改装前は殆ど日本人観光客が利用することの無いホテルだった。そのホテルを、マカオのオンリーワンホテルに一変させ、スタッフを指揮しているのがその人だ。 私自身ここでは、感動的なサービスを受けたエピソードがあり、ぜひともそれを伝えたかったし、彼のサービス哲学に触れてみたかったのだ。 香港ハイアットで20年以上日本人マーケットと向き合ってきたエキスパートに、ホテルサービスに懸ける想いを伺った。

(以下、Ken Chung:K、マカオナビ:とする)

Waldo Hotel ディレクター Ken Chung. マ:細かいサービスが行き届いていてとてもいいホテルですね。 K:ありがとうございます。 マ:改装前とは随分変わりましたが、デザインの他にどんな変化が有ったのでしょうか? K:以前、このホテルはコタイのグランドワルドと系列ホテルでしたが、オーナーが代わりまったく新しく生まれ変わりました。 マ:えっ、まったく別なんですか? K:はい。名前は以前のままですし、ホテル内のカジノも以前と同じギャラクシー系なのでよく間違われますが別の会社です。 マ:Kenさんは以前はどちらにいらっしゃったのですか? K:私はここに来る前はグランドエンペラーに、その前は香港のハイアットに長くいました。 マ:Waldoのサービスに関する基礎を作ったのはハイアットですか。なるほど、5つ星のサービスがどんなものなのかよくお分かりのはずですね。   さて、このホテルの最大の特徴はマカオ初のブティックホテルということですが、4つのテーマルームはどのような発想から誕生したのでしょうか? K:マカオではここ数年ラスベガスから来ているホテルを初め、沢山の新しい大型ホテルがオープンしました。 その中で他のホテルには無い特徴を出そうと考え出されたのが4つのテーマルームです。このようなブティックホテルはマカオで初めてですし、他には無い面白いサービスだと思いました。 マ:無知で申し訳ないのですが、ブティックホテルって何なのでしょうか? K:ブティックホテルは世界のトレンドでもあります。 デザイン性の強いファッショナブルなホテルをブティックホテルといい、香港や上海でも最近増えています。 マ:そのトレンドを押し上げている背景は? K:ブティックホテルが増えている背景には経済環境の変化があるでしょう。以前は5つ星に宿泊していたビジネスパーソンが沢山いましたが、昨今は予算的にそれは厳しくなっています。しかしながら、最高のホテルサービスやホテルの持っている魅力を良く知っている彼らが、喜んで3つ星に泊まるでしょうか?彼らはそれを望まないはずです。 ブティックホテルはそんな方々が満足できる空間とサービスを提供しています。 マ:そうするとターゲットはビジネスパーソンですね? K:ええ、ビジネスパーソンはもちろんですが、ここはマカオですので旅慣れたハイクラス、ミドルクラスの旅行者も想定しています。 料金だけを単に下げるのではなく、サービスの質を上げて、そういった目の肥えた層にアピールしていきたいのです。それができるのがWaldoの特徴だと考えています。   マ:ビジネスのお客様をフォローする施設はありますか? K:広いビジネスセンターはありませんが、インターネットは無線も有線も全ての部屋で利用できます。 コンシェルジュデスクでは送迎やレストランの手配、観光の手配などお客様のあらゆる要望にお応えする準備ができています。ルームサービスで新聞や雑誌もお持ちしますので快適にご利用いただけるでしょう。 マ:バスタブが無い部屋が有りますが、不満はでていませんか? K:今のところ出ていません。 マ:私なんか、できればバスタブが欲しいですね。ホテルを楽しもうと思っていたらなおさらです。 K:確かに日本人ゲストはバスタブを望むかもしれませんが、香港やその他の国の多くのゲストはバスタブを望みません。広さやデザインの問題も有りますので、バスタブのある部屋とない部屋が存在しています。 マ:バスタブが欲しい方のリクエストにはお応えいただけますか? K:大丈夫だと思います(笑)。すでに日本人ゲストにはバスタブ付きの部屋を案内するようにプログラムしていますから。 ちなみに、バスタブはツインベットの部屋と『グラマー』など広い部屋ございますので、予約時にそれらをご指定いただくのがもっとも安心な方法です。   『3つ星の料金で5つ星のサービスを提供する』とおっしゃいますが、どのようにしてその質を高めているのでしょうか? K:香港で経験を積んだエキスパートが重要なポイントを管理しています。ハウスキーパーには日本で経験を積んだ日本語の話せるスタッフがおり、日本品質の気配りをするよう心がけています。 熱く語るKenディレクターシェフはオーストラリアのホテルにいましたので彼の作る料理は皆さんの口にもきっと合う事でしょう。 ちなみに、私はハイアットで20年以上にわたり日本人マーケットに対応してきました。その当時から、日本人ゲストと会話をしたり旅行会社の担当者の意見を聞いたりと研究していました。今でも客室アンケートは重要な指標となっており、嬉しい事に日本人ゲストの皆様からとても良いお返事をいただいています。 ここには広いロビーも、大きなプールもありません。だからこそ、価格を安く提供できます。そして、そのような設備が無いからこそサービスで5つ星に劣ってはいられないのです。 そのために十分な経験のあるスタッフが揃い、さらに注意深く日々のサービスにあたっています。 マ:そういえば私が宿泊させていただいた時、客室のTVを付けたらNHKが付いたのでビックリしたのですが、あれは意図的にそうしているのですか? K:ハイ(チョッと嬉しそう)全てのお客様の国籍に合わせてチャンネルをセットするように教育しています。ホテルのTVプログラムは40チャンネルもあります。ここから日本語のチャンネルを探すのは簡単ではありませんからね。 マ:そうですか!やはり意図的にセットしてたんですね。実は他にも気になるサービスがあって、朝夕2回のお部屋の掃除も、それぞれセッティングが異なるんですね? K:ハイ(とても嬉しそう)夕方のクリーニング時にはスリッパやバスローブ、ベットなどのセッティングを朝とは変えています。 マ:やぱりそうですか、。朝は無かったバスローブがバスルームにあるし、ベットは掛け布団が少しめくられていて、スリッパもベットサイドにマットが敷かれその上に揃えてありました。私、マカオのホテルは沢山利用していますが、同価格帯のホテルで、このようなサービスを受けたのは初めてです。 『マカオのホテルもここまで来たか!』と感動しました。   他にもこのような他には余り見られない工夫がありますか? K:マカオのホテルはその立地的な特徴から冷房設備はあっても暖房設備のないホテルが大多数を占めています。確かに殆どの時期は必要ないのですが、冬季はとても寒い日もあり、それがお客様のクレームになることもあります。そこで、ホテルを改装する時に全ての客室に暖房と冷房の両方が使える空調を設置しました。 マ:ああ、確かに無いですね!マカオナビにも『寒かった』というカキコミが以前ありましたが、殆どのホテルは毛布を増やすだけですよね。 K:地味なサービスですが、全てのゲストに気持ちよく過ごしていただきたいのです。 スリッパには気が付きましたか?同クラスの多くのホテルは紙のスリッパですが、Waldoは布製の良いものを使っています。 ゲストは他のホテルよりもきっと快適に過ごせるはずです。 マ:なるほど。いいですね。そうゆうの日本では『おもてなしの心』と言います。(マカオの全てのホテルに広まって欲しなぁ) しかし、このレベルのサービスを全てのスタッフが対応し続けられるのでしょうか? K:お客様は10年前20年前とは違います。様々な場所に旅行をして、見る目も厳しくなっているお客様に対応するためには私たちも変わらなければならない。そういった考えで努力している結果が、先ほどお尋ねいただいた細やかな部分に結果として出てきているのです。 ですから、これで終わりでは有りません。   ホテルサービスで最も重要な要素は何でしょうか? K:私はホテルで最も重要なのはコミュニケーションだと考えています。 ゲストとのコミュニケーション、スタッフとのコミュニケーション、旅行会社さんや取引業者さんとのコミュニケーション。全てが重要です。 これは会話であったりアンケートであったり、表情であったりしますが・・例えばお客様の多くは不満や意見があっても何も仰いませんが、お部屋には様々なお客様のメッセージが残っています。そんな無言のメッセージも汲み上げるようにスタッフに指示しています。 マ:なるほど、Waldoのサービスはこれからも大丈夫そうですね。   最後にこれを読んでいる日本人にメッセージをいただけますか? K:2008年の12月に私がこのホテルに来る前は日本人のゲストは殆どいませんでした。しかし、ホテルは人によって変わります。私は日本人マーケットへの積極的な方針転回を計り、Waldoは日本人の皆様を喜んで向かいいれることができるようになりました。 是非沢山のゲストにWaldoをご利用いただきたいと願っています。 マ: ありがとうございました。   管理人hiroと記念撮影 【Ken Chung 鍾亮鳴】  Waldo Hotel Macao Director of Hotel Operations 香港生まれ とても感動的に熱くホテル哲学を語ってくれたkenさん。最後の『ホテルは人によって変わる』というのが『じゃあ、kenさんが居なくなったら又もとのWaldoになっちゃうのかな?』と少し心配になりましたが、きっとKenさんの意思を次ぐスタッフが育っているはずです。 そして、そんなスタッフがマカオ中のホテルでこの『おもてなしの心』を広めてくれたなら、そんな期待を込めて今後を見守りたいと思います。 Kenさんありがと うございました。 →WaldoHotel(華都娯楽酒店)