海辺のミリタリークラブ

ムール貝とクレソンのサラダ

かつてポルトガルの植民地だった頃のマカオには、警察だけでなく軍隊も常駐していた。

ポルトガル船がマカオへ寄港して以来この島はいつも緊張した場所で、その頃の城壁や砲台などは今でも一部が世界遺産として残されている。中でも私はギア灯台が好きで毎年訪れているけれど、ビルの隙間から見える海を眺めるたびに埋め立て地の広さに関心してしまう。

埋め立て地といえばお台場や舞洲のような最近の事業を想像するけれど、マカオは元々いくつかの小島とわずかな平地で形成された地域で、貸借地の狭さと防備の弱さを解消するため古くから人工的な埋め立てが行われ、450年前から比べるとだいたい4-5倍くらいの面積になっている(古い地図で見た感じ)。

ギア灯台 埋め立て地に建つマンション

先日、ミリタリークラブ(澳門陸軍俱樂部)で食事をしようという事になって南灣大馬路を歩いたが、いつだったか見た古いマカオの写真(中国最古)には、確かに今の南灣大馬路と重なる南灣の海岸線があった。

ここは中国に返還された今でも退役したポルトガル軍人の会員制クラブとして運営されており、レストランは一般人も利用できるので何度か利用させてもらったけれど、普通のポルトガル料理店では感じられない、ポルトガル系コミュニティー独特の雰囲気が有るから私はいつもアウェイ感を感じてしまう。

拒否されている訳ではないけれど、ウエルカムでもない。そんな感覚だ。

加思欄花園(南灣花園) 陸軍倶楽部入り口 店内の様子 ポルトガル料理2 ポルトガル料理 内蔵の煮込み乗せご飯

混沌とした街には混沌となるなりの歴史があり、そこに部外者は価値を見出すけれど、圧倒的少数派になってしまった現在の彼らにとって触れられたくない部分も多いようで、一般に開放しないほうがいいのではないのかとさえ感じる。

悪い意味ではなく、大切に閉ざしておくべき場所のように感じるのだ。

観光客が増えても伝統的な味付けを崩さない店内には、故郷の味を懐かしく感じる人々の望郷、郷愁、思い出の日々が漂っていた。

作成者: hiro

縁あってマカオを皆様にご紹介するサイトを立ち上げ今日に至っています。自分の好きなマカオを皆様に伝えるのがライフワークです。

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